(出典:株式会社NearMe)
株式会社NearMeは、国土交通省の「交通空白」解消緊急対策事業に採択された実証プロジェクト「のるら西伊豆」に参画し、2025年8月1日より実証運行を開始する。本事業は、静鉄タクシー株式会社、一般社団法人ふじさん駿河湾フェリー、株式会社伊豆バスと連携し、駿河湾フェリーの発着拠点である土肥港を中心とした伊豆半島西部地域において、観光客と地域住民双方の移動課題解決を目指す取り組みである。
「のるら西伊豆」では、フェリー到着地である土肥港フェリーターミナルを起点に、複数利用者が乗降地を共有する“シェア乗りタクシー”を導入する。ニアミーは独自のAIを活用した配車・マッチングシステムを提供し、運行効率化と利便性向上を担う。これにより、限られた車両リソースを最大限活用し、観光と生活の両面で持続可能な移動を実現する。
背景には、タクシー台数不足や運転手の高齢化といった地域特有の課題がある。特に土肥港では、フェリー利用者にとって二次交通の選択肢が乏しく、接続性の低さが顕著であった。さらに、清水港側のフェリー乗降場所の変更に伴い、徒歩利用者の増加も予想され、土肥港を起点とした移動環境の整備が急務となっていた。
本実証運行は2026年1月12日まで実施予定であり、観光客のみならず地域住民の日常的な移動需要にも対応する。最大9名が乗車可能で、運賃はアプリ予約時に事前確定し、通常のタクシー運賃より最大50%安価となるケースもある。決済はオンラインで完結し、利便性を高めた設計となっている。
ニアミーはこれまで、空港送迎型「エアポートシャトル」など都市と地方を結ぶ移動サービスを展開してきたが、港を起点とする事業は今回が初めてである。海上交通の拠点である土肥港において新たなサービスを開始することで、地域に根ざした交通の在り方を模索する。今後も同社は空港・駅・港といった交通結節点を基盤に、地域課題に即したモビリティ提供を進め、誰もが快適に移動できる社会の実現を目指す。