「カーシェアリング比較360°」のデータによれば、2023年第一四半期の主要5社のカーシェアリング市場は、ステーション数が3.2%増、車両台数が3.5%増で、全国的に成長傾向にある。ステーション数は20,492箇所に達し、特にタイムズカーとカレコ・カーシェアリングクラブが増加に寄与。車両台数は41,108台となり、こちらもタイムズカーとカレコ・カーシェアリングクラブが大きく増加した。地域別では、首都圏、近畿地方、中部地方で、カーシェアリングの人気が拡大している。
カーシェアリングは従来のレンタカーに比べ、短時間や小規模での利用が可能なため、従来とは異なる顧客層を獲得している。これは、消費者のライフスタイルの変化とも関連している。「所有」から「利用」へと価値観が移行している現代の消費者にとって、時間や場所に縛られないカーシェアリングは魅力的な選択肢だ。
レンタカー業界にとって、カーシェアリングの需要増は従来のレンタカー利用の減少をもたらす可能性があり、業界全体の収益に影響を及ぼす。しかし、他方では、新たなビジネスモデルとしてカーシェアリングを取り入れることで、新たな収益源を開拓するチャンスもある。
一つの対策として、レンタカー企業自体がカーシェアリングサービスを提供することがあげられる。これにより、顧客ニーズに対応しつつ、新たな顧客層の開拓という新しい可能性を探ることができる。また、既存のカーシェアリング企業とのパートナーシップを検討することも一つの方法である。自社のレンタカーをカーシェアリングの一部として提供することで、利益をさらに上げることも考えられる。
また、レンタカーならではの強みを生かすことも重要だ。カーシェアは短時間ですぐに借りることができるのが魅力だが、長時間の利用ではレンタカーのほうが割安になる。さらに、長く営業してきたレンタカー業者ならではの観光地の情報提供なども、利用者にとっての付加価値となるはずだ。
カーシェアリング市場の拡大は、レンタカー業界にとって新たな挑戦であり、かつ新たなビジネスチャンスをもたらしている。業界がこれまでのビジネスモデルに固執するのではなく、カーシェアリングのような新しいビジネスチャンスを逃さず、積極的に取り組むことが重要だ。レンタカー業界にとって、カーシェアリング市場の成長という変化は、単なる脅威としてではなく、業界全体の成長に寄与する可能性のある機会として捉えられる。