レンタカー事業を始めるには3つの要件を満たす必要がある。
1つ目はヒトに関する要件だ。過去2年以内の法定処分を受けている者は許可を得ることができない。また、法人の役員に1人でも欠格事由が存在する場合、法人全体としての許可取得が困難となる。さらに、レンタカーに使用する車両の種類や台数に応じて整備責任者の選任が必須だ。整備責任者は、自動車整備士技能検定の1級、2級、3級整備士の資格が必要であるが、これを持たない者も、一定の実務経験と前研修を修了すれば整備責任者として選任することが可能だ。
2つ目は、場所と車両の準備だ。事務所や営業所、そして車両の保管場所となる車庫の設置が求められる。車庫は営業所から2キロメートル以内に設け、全車両が収容できるスペースを持つことが必須である。また、レンタカーとして使える車種は、自家用自動車、一定条件を満たす自家用マイクロバス、自家用トラック、特殊用途自動車、二輪車の5種類に限られることに注意だ。
3つ目に、貸し出す車両に対する最低限の補償を提供する自動車保険の加入が義務となる。一方、資本金や預貯金などの財務状況は審査対象外となる。
また、事業を開業するにあたっての注意点として、個人で取得した事業許可は法人に引き継ぐことができないということが挙げられる。もし将来的に法人化を考えている場合、初めから法人として手続きを進めるのが得策だ。さらに、事業許可がなければ、法人が銀行からの融資を受けることはできないので、注意が必要だ。
最後に、気になるのは開業資金についてだろう。個人で事業を開始する際の初期資金として、車両の用意や保険、店舗の家賃、備品の購入、広告宣伝費など、総額で約280万円程度の資金が必要となる。一方で、フランチャイズに加盟することも、レンタカー事業の開業方法の一つだ。フランチャイズ加盟には、研修や営業許可取得のサポート、営業所の提供など多岐にわたるサポートが受けられる。加盟に必要な費用は、加盟金や研修費、物件取得費、システム初期費などを合わせて約1400万円となり、個人での開業に比べ高額だ。ただし、経営や集客、従業員の育成など、すべての業務についてサポートが受けられるため、その点は十分に考慮するべきである。開業時にどちらが自分に合っているかを慎重に決定する必要がある。
ここまで、レンタカー事業を開始するうえでの基礎知識やフローについて解説してきた。現在、インバウンドも戻り、旅行業界、レンタカー業界への需要は高まっている。事業に興味がある、始めてみたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてほしい。