福島県浪江町の伊達重機は、地域に新たな移動手段を提供するプロジェクトとして、「浪江FCVレンタカー」事業を9月27日に開始した。これは水素で走る燃料電池車(FCV)をレンタルできるサービスで、県内初の試みである。トヨタ自動車のFCV「MIRAI(ミライ)」を2台配備し、新たに設けられた浪江町権現堂の店舗でのレンタルが開始された。
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利用料金は、3時間5,000円、6時間8,000円、12時間9,000円、24時間11,000円となっている。2回目以降の利用では、料金が10%オフとなる特典がある。燃料については、伊達重機が運営する「浪江水素ステーション」で充填することができる。同ステーションはまた、30分の無料試乗の発着場としても機能している。営業時間は、日曜日と祝日を除き、午前9時から午後6時までである。
この取り組みの背景には、浪江町が持続可能なエネルギー普及の一環として進めている活動がある。福島水素エネルギー研究フィールドで製造されるCO2排出ゼロのグリーン水素を活用しており、地域のエネルギー供給を持続可能にするとともに、CO2排出を削減している。伊達重機の前司昭博社長は、浪江町におけるこのプロジェクトの意義について、「FCVの利用を通じて、浪江町を訪れるビジネスや観光の人々に、環境を汚さずに移動する方法を提供したい。また、水素を日常の中で気軽に体験してもらい、水素社会の実現を後押しする」との考えを明らかにした。
「浪江FCVレンタカー」事業は、浪江町が掲げる「なみえ水素タウン構想」の実現に向けたステップである。この構想は、水素エネルギーの普及を推進し、CO2排出の削減を実現することを目指している。浪江町は、この事業を通じて、水素エネルギーの利用を促進し、地産地消モデルの構築を進めている。これは、持続可能な地域社会の形成に向けた重要な一歩と言えるだろう。