近年、温室効果ガス排出の削減が環境問題解決の鍵とされている。その一翼を担うべく、電気自動車(EV)やカーシェアリングの利用が拡大しているが、果たしてそれらが排出削減にどの程度貢献しているのだろうか。今回は、東京都市大学と株式会社REXEVによる共同研究の成果をもとに、レンタカー業界の今後の動向について考察する。
本研究では、REXEVのEVカーシェアリングサービス「eemo」が自家用ガソリン車だけでなく、自家用EVと比較しても21%の温室効果ガス(GHG)排出量低減に寄与するという評価結果が得られた。また、使用電力を再生可能エネルギーに変更することで、使用段階の約78%の温室効果ガス(GHG)排出量を削減できることが明らかになった。これは、電力供給のグリーン化がEVの環境性能向上に果たす役割を強調している。さらに、アンケート調査から、自家用車の買い控え等により車両製造におけるGHG排出量を約8%削減に寄与することがわかった。
これらの研究結果を受けて、REXEVは企業や自治体の社用車・公用車のEV化、さらには様々なシェアリング形態のサービス提供により、EVの普及拡大を推進していく方針を明らかにした。
消費者の所有から利用への価値転換が浸透しつつあり、カーシェアリングは、その動向を反映した一例である。さらに、GHG排出量の低減という大きな利点を持つEVカーシェアリングは、環境問題解決に向けた取り組みとして注目だ。これは、所有することのコストと手間を省きつつ、環境負荷の低い移動手段を利用することが可能になるからだ。
しかし、それだけではない。本研究が示したように、再生可能エネルギーを利用した充電や自家用車の所有を控えることで、さらなるGHG排出量の削減が期待できる。これにより、カーシェアリングは単なる移動手段ではなく、環境問題解決に向けた一つの解答とも言える。
レンタカー業界においても、これらの動向を重視し、環境対策と利便性の両立を目指すべき時代が到来している。消費者の価値観が変化する中、業界全体で環境に配慮したビジネスモデルの採用と、それに伴うサービス改善が求められている。