株式会社JTBは、2024年12月23日から2025年1月3日までの年末年始における旅行動向を発表した。本レポートは経済指標、業界動向、宿泊施設の予約状況、意識調査をもとに推計されたもので、調査は今回で55回目となる。
年末年始の総旅行人数は2,852万人で、前年比100.2%と微増が見込まれる。総旅行消費額は1兆3,460億円で前年比106.3%の増加となる。国内旅行の旅行人数は2,800万人、平均費用は43,000円(前年比104.9%)であり、総消費額は1兆2,040億円と推計されている。海外旅行は、旅行人数が52万人(前年比113.0%)、平均費用が273,000円(同106.6%)で、総消費額は1,420億円(同120.6%)となる。
国内旅行人数は前年並みだが、旅行費用の上昇が顕著である。宿泊費や交通費の高騰、旅行日数の増加、遠方旅行の増加が影響している。目的としては「家族と過ごす」が42.4%と最多で、「リラックスやのんびり」が29.3%と続いており、帰省や親戚訪問の割合は減少した。旅行日数は「2泊3日」や「3泊4日」の割合が増加し、旅行時期も分散する傾向が見られる。交通手段では自家用車が最多であるが、JR新幹線やレンタカー利用が増加しており、宿泊施設ではホテルの利用が最多である。
海外旅行は前年比113.0%と回復が進み、旅行先では韓国や台湾が人気を集める一方で、ハワイや欧米豪などの遠方も高い需要を示している。旅行日数は短期化が進むものの、一部では長期旅行も見られ、旅行費用は平均273,000円と前年比106.6%で上昇した。円安や海外の物価高が影響しているが、航空便数の回復が今後の拡大を期待させる。
日本国内では物価高が家計に影響を与える一方で、生活意識調査では暮らし向きの改善傾向がうかがえる。旅行に対する支出意向では、大幅な増減を避ける傾向が強く、旅行をする際には早めの予約や混雑を避ける工夫がみられる。今年の年末年始は日並びの良さが旅行需要を支える要因となる一方、旅行者は費用や目的に応じた柔軟な計画を立てる傾向が強まっている。