従来のレンタカーは、利用者が営業所まで足を運び、そこから車を借りる形態が一般的であった。しかし近年、日本をはじめとした国々では、好きな場所にレンタカーを届けてくれるサービスが広がりを見せている。ただ、この便利さには、運転手の人件費が掛かり、利用料が高くなるという課題があった。
逆風を追い風に : 福岡「Door to Door Japan」の革新的レンタカーサービス
こうした問題を解決するため、英国の自動運転技術企業Imperium Driveは、新たな取り組みを開始した。それは、自動車をリモート運転し、運転手を乗せずにレンタカーを利用者の元へ届けるサービス「Fetch」である。この新サービスは、自律走行技術を使用せず、本社から自動車をリモート操作し、”ドライバーレスカー”の体験を提供するものである。サービスエリアは現在はイギリスのミルトンキーンズに限り試験運用を行っている。
同社は開発に当たって、18カ月にわたり、1000マイル（約1609km）以上のテスト走行を行った結果、一度も衝突事故を起こすことなく、このサービス開始に至ったとBBCが報じている。現段階では、念のために車内には同社のセイフティドライバーが同乗している。
利用者はスマートフォンのアプリを通じてFetchを利用する。日時と場所を指定し申し込むと、リモート運転された車が指定した場所に届けられる。その後、利用者がアプリで車を解錠し、通常のレンタカーと同様に自由に利用できる。返却は特定の駐車場に車を停めるだけで、リモート運転で車が回収される。また、レンタルされる車は全て電気自動車（EV）で、利用者が返却前に充電する必要はない。これらの便利な機能を通じて、Fetchはレンタカーサービスの新たな可能性を提示している。
人間の運転手がいらず、必要な時に必要な場所に車が届けられるFetchは、これまでのレンタカーサービスの形を一新している。このような進歩は、利用者にとって、より便利で手軽にレンタカーを利用できる新たな選択肢となるだろう。