日本は、世界に先駆けて量産電気自動車(EV)として日産「リーフ」の販売を開始した。2010年12月の登場から13年。この間にEVは欧米や中国で急速に普及しているが、日本の市場ではなかなか浸透していない。その理由には何があるのだろうか。
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2023年7月時点で日産は、「EVのグローバル累計販売台数100万台」を突破し、初代リーフだけで約65万台を販売したと発表している。しかしながら、本拠地である日本ではEVのシェアは全体のわずか1.5%に過ぎず、その低さは欧州や中国、アメリカにも届いていない。
EVの普及が進まない原因として、最大の要因は「車両価格の高さ」である。リチウムイオン電池の高額なコストが、ガソリン車に比べて価格をつり上げている。例えば、日産「リーフ」のエントリーグレードは400万円を超える価格設定がされており、その他のフラッグシップEVも500万円以上となっている。政府からの補助金が最大55万円提供されるとはいえ、日本のユーザーにとっては「EVは高くて買うものではない」という認識が強い。
この問題に対する解決策の一つに、日産の「サクラ」が挙げられる。電池の搭載量を減らすことで新車価格を抑え、補助金を活用すれば200万円台で手に入れられる。結果、発売約1年間で5万台を超える受注を得ている。
また、日本の住環境もEVの普及を妨げている理由の一つだ。EVの充電には30分以上かかり、エンジン車の給油と比べて十倍以上の時間が必要で、駐車場での充電が必須である。戸建ての駐車場付きの住宅であれば解決可能だが、マンションやアパートなどの集合住宅では、駐車場への充電設備の設置が非常に困難になる。
一方で、約10年前のハイブリッド車の流行のように、経済合理性よりも「流行」が販売を牽引する可能性もある。日本だけでなく欧州や中国でも「EVが高い」という問題は存在するが、「これからはEVだ」という意識が課題を克服する力になっているのかもしれない。
日本でのEVの普及は、車両価格の高さ、充電設備の問題など、いくつかの大きな障壁に直面している。未来のEV市場がどう展開するかは、政府の政策、メーカーの戦略、そして消費者の意識にかかっていると言えるだろう。