また、政府の方針では、ドライバーとしての業務委託も認められていない。これにより、ライドシェアのドライバーはタクシー会社に雇用される必要があり、その結果、タクシー会社以外からのライドシェア事業への参入が実質的に不可能になると見られている。ただし、将来的にはタクシー会社以外の参入も許可される可能性が議論されている。
一方で、政府は二種免許を持っていない一般のドライバーも、ライドシェアの運転手として有料で送迎を行うことができる方針を採っている。この展開は、現在は過疎地域や公共交通が少ない場所に限定されているが、今後は観光地や都市部への拡大も検討されている。
日本はライドシェアの解禁において世界的に遅れをとっている状況だ。これには、タクシー会社の反発が大きな背景にある。しかし、過疎地や観光地では十分な移動手段が確保されていないことから、ライドシェア解禁への期待が高まっている。海外では多くのライドシェアドライバーが「ギグワーカー」として働いているが、日本の新方針では、タクシー会社による雇用が条件とされるため、同様の働き方が困難になると予想される。
最近では、二種免許保持者を対象にスキマ時間でタクシードライバーとして働ける「スポドラ」というサービスも提供開始されたが、二種免許を受けていること、タクシー会社への所属が必須であることなど、海外でのライドシェアとは大きく異なっている。タクシーを含む物流業界では、ドライバーに対して「時間外労働の上限規制」が適用される「2024年問題」が大きな課題となっていることから、柔軟な判断が急がれる。
以上のことから、政府の新方針は、ライドシェア市場の解禁を意味しながらも、実質的にはタクシー業界を守るための措置とも解釈できる。今後のデジタル行財政改革会議での発表内容に注目が集まる状況だ。