
(出典:Lime株式会社)
世界約30カ国で電動モビリティのシェアリングサービスを展開するLime株式会社は、座って乗れる電動シートボード「Limeラクモ」の提供を、2025年11月10日より沖縄県石垣島エリアで開始した。東京都内や横浜市、那覇市に続く国内展開となり、離島観光地への本格導入は注目される動きである。
石垣島エリアでは、ユーグレナ離島ターミナルやゆらてぃく市場、ピータイムやえやま店など約30カ所にLimeポートを設置し、130台の「Limeラクモ」を配備している。年内にはポート数を約50カ所、車両台数を200台規模へ拡大する計画であり、観光客だけでなく地域住民の移動利便性向上を目指す。
今回配備される車両は、2025年10月に閉幕した大阪・関西万博において、スタッフ移動用として実際に使用されていた車両を再活用したものだ。大規模イベントで運用実績のある車両を地域交通に転用することで、資源の有効活用と持続可能なモビリティ環境の整備を両立させる狙いがある。
石垣市では近年、観光需要の増加が続いており、クルーズ船の寄港増加などにより来訪者数は拡大傾向にある。一方で、レンタカー依存やタクシー不足、公共交通維持の課題が指摘されており、観光客・地域住民双方にとって柔軟な移動手段の確保が求められてきた。島内で稼働するタクシーは約250台に限られており、「Limeラクモ」は同規模の移動手段として地域交通を補完する存在となる。
(出典:Lime株式会社)
サービス開始に先立ち、Limeは八重山警察署と連携し、2025年11月に開催された「石垣島まつり」において安全試乗会を実施した。試乗体験と安全講習を通じて、マイクロモビリティの正しい利用方法や交通ルールの啓発を行い、地域に根ざした運営体制の構築を進めている。
さらに、日本航空(JAL)との連携により、Lime利用でマイルが貯まる仕組みも石垣島で提供される。観光と移動を結びつけた取り組みを通じ、Limeは今後も観光地におけるラストワンマイルの課題解決と、持続可能な地域交通の実現を目指すとしている。