株式会社博報堂は、奈良県の事業の一環として、宇陀市内牧地域でマイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルおくうだ」の運行を開始した。本サービスは、2025年3月8日から5月31日までの期間限定で実施され、住民同士が支え合う共助型MaaS（Mobility as a Service）事業として展開される。奈良県内において、事業者協力型自家用有償旅客運送の導入は今回が初の取り組みである。
奈良県では、人口減少や少子高齢化に伴い、公共交通サービスの充実が求められている。特に宇陀市では、高齢者の免許返納が進む一方で、マイカー依存度が高く、移動手段の確保が課題となっていた。加えて、コミュニティバスなど既存の公共交通機関では、一部の時間帯に交通空白が発生しており、その補完策が求められていた。こうした背景のもと、博報堂は宇陀地域公共交通活性化協議会（以下、協議会）と連携し、「ノッカルおくうだ」の運行を開始するに至った。
本サービスの特徴は、コミュニティバスのダイヤの隙間を埋める形で運行される点にある。既存の公共交通機関と組み合わせて利用することで、地域住民の移動手段の利便性を向上させることを目指している。また、本運行は宇陀市内牧地域に限定されているが、利用実態やニーズを分析し、他の市町村への拡大も検討される。
「ノッカルおくうだ」は、住民ドライバーが自身のマイカーを用いて送迎を行う仕組みである。協議会に登録したドライバーと利用者を、博報堂ＤＹグループが開発したシステムでマッチングし、ドライバーが近隣住民を目的地まで送迎する。運行エリアは、「桧牧・荷阪・自明コース」、「高井・赤埴・諸木野コース」、「内牧・八滝コース」、「たかぎふるさと館コース」の4つに分かれており、事前予約制となっている。
予約は、前日16時30分までにLINEまたは電話で受け付ける。乗車料金はコースごとに異なり、1回400円または200円で、チケット制が導入されている。チケットの販売場所は、宇陀市役所政策推進課、榛原駅前の市営施設「じゆうだテラス」とたかぎふるさと館（移動診療車開設中のみ）である。