ライドシェアは、自家用車を用いて有償で乗客を運ぶ新たな交通サービスである。紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)は、このライドシェアに対する日本国民の意識調査を実施した。調査結果からは、ライドシェアへの賛否や期待、不安が浮かび上がってくる。
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賛成と反対の意見が交錯する中で、賛成が45%、反対が33%と、賛成の意見がやや上回っている。期待される利点としては、タクシーよりも低料金で利用できる点が47%と最多である。一方で、事故時の対応や補償に対する不安が65%と多数を占めている。
ライドシェアの解禁議論は、タクシー運転手の減少や高齢化の問題を背景にしている。日常でのタクシー利用頻度が低いと回答した人が多く、タクシーが捕まりづらいと感じる人も存在する。これらの問題への対策としてライドシェアの導入が期待されているのである。
特区を作り、試験的にライドシェアを行うべきだという意見が21%と最多であり、段階的に導入を進めるべきだという意見も18%と続く。これに対し、乗客としてライドシェアを利用したくないという人が52%と半数以上を占める。ドライバーとして参加したい人は14%と少ない。
KSIの調査によれば、ライドシェアについてある程度理解している人は51%だった。ライドシェアの導入に関しては、賛成と反対が拮抗しており、その受け入れには地域差が見られる。中国と沖縄地域での受け入れ率が最も高い。
日本のライドシェア市場の将来は不確かである。その不確かさは、利用者とドライバーの両方に見られる。利用者は低料金での移動を望む一方で、事故時の対応に不安を抱えている。ドライバーは、ライドシェアに参加する意欲が低く、その背景にはリスクマネジメントの問題がある可能性が高い。
KSIは、政策活動やリスクマネジメントのサポートを通じて、新産業に挑戦する企業を支援している。ライドシェアが国内で解禁されれば、タクシー業界への影響、安全・安心の確保、料金設定など、多くの課題が浮かび上がるだろう。これらの課題解決のためには、政府、業界、利用者が一体となって、新たな交通サービスの形を創り上げていく必要がある。