東京都千代田区に拠点を置くモビリティプラットフォーム事業者協議会と一般社団法人新経済連盟は、ゴールデンウィーク(GW)期間中の主要観光4都市における「タクシー需給動向等調査」の結果を発表した。この調査は、移動ニーズの高まるGW期間中の主要観光地におけるタクシーの利用実態を把握し、「移動の足不足」の解決に向けた議論を促進することを目的として実施された。
調査は、2024年4月27日から5月6日までの期間に、主要観光地である金沢、鎌倉、京都、那覇のいずれかを訪れた、各都市100名ずつの計400名を対象に行われた。これはインターネットを介したモニターアンケート形式で行われ、参加者は全国の男女(15~99歳)から選ばれた。
調査結果によれば、4都市でタクシーを利用しようとした人の8割以上が困難な経験をしたという。特に金沢と京都では、半数以上の人が路上やタクシー乗り場や流しでタクシーが捕まらない経験をしている。また、タクシー利用に困った人のうち82%がタクシーの利用を断念し、そのうちの約4分の3が代替の公共交通手段がなく「徒歩」を選択し移動した。さらに、GW中にタクシーを利用しようとした回数は「3〜5回」が54%存在し、そのうち「1〜2回」はタクシーがつかまらなかった、待ち時間が長かった等の経験があると半数以上の人が回答した。つまり、潜在利用客の過半数は、エリア内で頻繁にタクシーを利用したいと考えているが、そのニーズに応えきれていない状況になっている。
タクシーの利用ニーズが高いのは「観光地・観光施設」「空港・駅・バス停」「ホテル・宿泊施設」となっており、こうした拠点からの二次交通手段が不足している可能性が考えられる。また、タクシーの待ち時間について、半数以上の人が許容できるのは10分以内だと回答しているのに対し、実際にタクシーを利用した際には7割の人が11分以上の待ち時間を経験している。そのため、多くの人が許容範囲を超える待ち時間を経てタクシーを利用しているのである。
一方で、日本版ライドシェアの利用水準は87.3%と低いものの、利用経験者はドライバーが親切、やスムーズな乗降などを理由として挙げて、日本版ライドシェアをポジティブに捉えており、満足度も高い。さらに一度利用したことがある人のうち84.3%がGW期間中に「利用した」と回答しており、リピート率が高い可能性もある。ライドシェア全体に対しては「安全性」や「事故発生時の対応」などに加え、「副業でドライバーとして働くことへの期待」や「空き時間の有効活用」などのコメントが多く寄せられ、利用者のみでなく働き手としてもライドシェアへの期待が高まっていることが示唆されている。
調査結果は、5月15日に行われた内閣府規制改革推進会議の第14回地域産業活性化ワーキング・グループで説明されている。また、調査結果の詳細は一般社団法人新経済連盟の公式サイトで公開されている。
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