
(出典:株式会社Will Smart)
モビリティ分野のDXを手掛ける株式会社Will Smartと、地域公共交通のコンサルティング事業を展開する株式会社ケー・シー・エス(KCS)は、交通空白の解消や地域交通の最適化、地域活性化を目的とした協業に関する基本合意書を2026年3月2日に締結した。両社はそれぞれの強みを組み合わせ、データに基づく政策立案(EBPM)を軸にした地域公共交通の高度化を全国で推進していく。
近年、人口減少や運転手不足の影響により、多くの地域でバス路線の維持や再編が課題となっている。限られた資源の中で公共交通サービスを維持するためには、利用実態や運行実績などのデータを活用した検討が不可欠である。一方で、データ分析基盤の整備や分析結果を踏まえた交通計画の策定、関係者間の合意形成までを担える人材は不足しており、DXとコンサルティングを一体で提供する支援体制が求められている。
Will Smartは、コミュニティバス運行支援システムやバス共同経営を支えるデータ分析基盤など、モビリティ分野に特化したDXソリューションを提供してきた。一方のKCSは、地域公共交通や観光交通分野における建設コンサルタントとして、自治体や交通事業者に対する交通計画の策定や政策提言、分析評価などを支援してきた実績を持つ。
今回の協業では、Will Smartのデジタルプラットフォームとデータ分析技術、KCSの交通コンサルティング力や自治体ネットワークを組み合わせることで、交通計画の構想段階から実装、運用までを一体的に支援する体制を構築する。具体的には、交通空白地域の解消に向けたサービスの共同検討、交通計画やDXツールの総合提案、国土交通省などの補助事業を活用した地域交通プロジェクトの提案などを連携して進める。
両社はすでに青森県八戸圏域において、ICカードデータや運行実績を統合して可視化する「バスICカード可視化・分析システム」の導入支援を行っている。この仕組みにより、従来は把握まで数カ月を要していた利用状況を会議の場でリアルタイムに分析できる環境が整い、路線再編の議論の迅速化や検討精度の向上につながった。この取り組みは国土交通省の「交通関係優良団体大臣表彰(地域公共交通部門)」を受賞している。
両社は今回の基本合意を通じて、こうしたデータ活用型の交通政策の仕組みを全国へ展開する考えである。今後は各地域の状況に応じた公共交通ネットワークの再設計や新たな移動サービスの導入支援を進め、持続可能な地域交通の実現を目指すとしている。