株式会社JTBは、沖縄県でレンタカーを利用する観光客に対し、交通渋滞の緩和と地域の分散周遊を促進する目的で実施した実証実験の成果を公表した。これは、事故につながる交通渋滞の緩和及び地域活性化を目指し、2022年10月からステップ2として行われた。実験では、レンタカー車内に搭載された専用のタブレットアプリを通じて、観光客に交通渋滞を避けるための観光レコメンドを提供することで分散周遊を促進した。
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実証実験の成果として、観光レコメンドを受けたレンタカー利用者の行動変容が確認された。美ら海水族館への訪問を予定していた観光客に対し、ナビゲーションシステムと異なるルート上の推奨スポットを紹介することで、新たな観光地への訪問が促され、訪問数が2.3倍に増加した。この取り組みは隠れた観光地の訴求と渋滞緩和に寄与した。このような観光レコメンドにより、行動変容の割合が18%に達し、琉球大学と東京大学からは「非常に高い行動変化」と評価されている。
また、車載タブレットを搭載した車両では事故削減効果が認められ、外国人では55%、日本人では38%の事故件数が減少し、急加速や急ブレーキの改善も確認された。
JTBはこの実証実験を基に、今後もレンタカー観光の魅力を高める提案を通じて、時間の正確性の向上、オーバーツーリズム対策、回遊性の向上などに努めることで、地域経済の活性化とサステナブルな観光振興に寄与する方針である。
プロジェクトには一般財団法人トヨタ・モビリティ基金、矢崎総業株式会社、株式会社トヨタレンタリース沖縄、トヨタ自動車株式会社、琉球大学、東京大学大学院工学系研究科が参加し、沖縄県警察本部とも連携している。2024年3月より、東京海上日動火災保険株式会社もこの連携協定に加わり、2025年3月までの期間延長を通じて、さらなる分析を深める予定である。
この取り組みは「沖縄ゆいまーるプロジェクト」と命名され、交通事故削減や渋滞解消などの社会課題の解決と、充実した観光体験の提供を目指す。これは、産業、官公庁、学術機関が連携することで地域課題の解決に取り組む“沖縄モデル”の確立を目指すものであり、新たな観光振興のあり方を示唆している。