2023年8月5日から、E20中央自動車道において、観光需要の時空間分散を目的とした実証実験が実施される。芝浦工業大学(学長・山田純)、公益社団法人やまなし観光推進機構(山梨県甲府市、理事長 仲田道弘)、一般社団法人八ヶ岳ツーリズムマネジメント(山梨県北杜市、代表理事 石川高明)、中日本高速道路株式会社八王子支社(東京都八王子市、支社長 荒井靖博)の連携の下、この取り組みは約8ヶ月にわたって実行される。
本実証実験の背景には、観光情報や高速道路の渋滞情報などの配信を通じて観光需要の分散を図るという目的がある。具体的には、芝浦工業大学が開発した「スイスイ旅」というアプリを通じて、観光施設や店舗などの情報と、NEXCO中日本が提供するAI渋滞予測情報を組み合わせて提供することで、旅行者が渋滞時間を有効に利用し、地域での消費を促進させる狙いがある。
「スイスイ旅」アプリの核となるのは、渋滞予測や経路案内の機能である。さらに、その周辺地域の観光情報も併せて提供されるため、旅行者は現地での滞在時間を有効に活用することが可能となる。また、アプリの開発には、芝浦工業大学土木工学科モビリティ・インフラ研究室が中心となっており、その協賛として株式会社富士急ハイランドが名を連ねている。
この実証実験の中心課題は、旅行者の帰宅時間の分散を促すことで交通渋滞を軽減し、地域での滞在時間を増やすことだ。渋滞による時間の損失を「消費時間」として再定義し、未計画の立ち寄り行動を通じて発見型の観光体験を提供することで、リピーターの獲得を目指している。この取り組みは、ゲームのような要素(ゲーミフィケーション)を取り入れることで、旅行者の興味を引きつけ、滞在や旅行に関する消費を刺激することを意図している。
それぞれの役割は、芝浦工業大学が「スイスイ旅」アプリの運営と行動変容効果の分析、やまなし観光推進機構と八ヶ岳ツーリズムマネジメントが観光情報の提供と広報、NEXCO中日本がAI渋滞予測情報の提供と広報、そして中央道の渋滞状況の検証を担当する。
この取り組みによって、観光地での消費活動の拡大と、高速道路の渋滞削減の両方を目指していく。これからの約8ヶ月間の成果に注目が高まる。