韓国で、レンタカーに飲酒運転防止装置を搭載する試験事業が開始されることが決定した。日本の事情と合わせて解説する。
●韓国で飲酒運転防止の試験事業がスタート
4月11日。韓国交通安全公団は、レンタカーに飲酒運転を防止する装置を取り付ける試験事業を実施すると発表した。搭載される装置は、運転者が飲酒していないかどうかを呼気に含まれるアルコールによって測定し、飲酒が確認された場合にエンジンがかからないようにストッパーをかける仕組みだ。公団では現在、試験事業の実施に向けてレンタカー事業者と調整を行っている。
●増えるレンタカー事故
韓国では飲酒運転による交通事故が度々発生しており、社会問題となっている。昨年も光州市で高校生がレンタカーに8人乗った状態で飲酒運転を起こす事件があった。韓国国内での飲酒運転による交通事故の死者は、レンタカーが65.4%を占めている。利用者数の増加と共にレンタカーの死亡事故は増えており、昨年の死者はレンタカー10万台あたり2.2人。ここ5年間で11.4%も増加している。飲酒運転を検知する装置の実験は他国でも行われており、韓国交通安全公団は今回の試験事業を通じて精度や改善点を検証し、本格的な導入を検討する方針だ。
●日本での導入は?
日本では、運輸・交通事業を担う緑ナンバーの車両の運転者には、アルコール検知装置の使用が法律で義務付けられている。しかし白ナンバーのレンタカーなど、一部の事業用車両には適用されていない。画一的な導入の義務化は経済活動を阻害する可能性もあり、難しい問題だ。
●ADAS(先進運転システム)への期待
交通事故を防止する手段として、アルコール検知機能に加えて注目を集めているのが、ADASと呼ばれる先進運転支援システムである。こちらは自動車にセンサーを搭載し、危険な状況を検知した場合、すみやかに衝突の威力を軽減するブレーキを作動させたり、ドライバーに警報を鳴らすというもの。飲酒運転だけでなく、睡眠不足や疲労からくる運転ミスによる事故の防止にもつながると期待されている。