(出典：野口観光マネジメント株式会社)
登別市では、JR登別駅から登別温泉へのアクセス向上を目的に、夜間の公共ライドシェアサービスを活用した移動支援の実証実験が行われている。特に冬季の北海道では積雪や路面凍結により、自家用車の運転を避けたい旅行者も多く、夜間の移動手段が限られるという課題が存在する。本取り組みは、こうした不便を解消し、観光地への到着時間が遅くなった場合でも安心して温泉街へ向かえる環境づくりを目指したものである。
ライドシェアの運行期間は2026年2月20日までであり、JR登別駅から登別温泉までの区間を定時運行する。運行時刻は21時発が基本であり、12月から2月の冬季期間は21時・22時の2便体制となる。料金は1人2,000円であり、登別市民および登別温泉の従業者は500円と手頃である。なお、同区間をタクシー利用した場合は通常3,000円以上となるため、コスト面でも利便性の高い選択肢であるといえる。
この夜間ライドシェアは、雪道運転に不安のある旅行者や、観光に時間を費やし最終便を逃した場合などにも柔軟に対応できる点が強みである。特にJR登別駅を利用する旅行者にとっては、鉄道到着後に確実な移動手段が確保されているという安心感が大きい。また、地域の交通空白を補完する役割も担っており、観光客だけでなく地域住民の移動課題解消にも寄与する取り組みである。
望楼NOGUCHI登別では、このライドシェアを利用して夜間にチェックインする宿泊客も想定し、食事のない素泊まりプランを提供している。登別駅周辺で夕食を楽しんだ後、ライドシェアで温泉旅館へ向かう導線は、旅行スタイルの多様化にも適している。広々とした展望風呂付きスイートを備える同館では、移動の疲れを癒しつつ、静かな夜の温泉街を満喫できる滞在が可能である。
登別温泉は北海道でも指折りの名湯であり、冬季こそ温泉街の魅力が際立つ季節である。夜間の移動手段が確保されることで、観光客がより自由に計画を立てられるようになり、地域観光の満足度向上にも繋がると期待される。ライドシェアと宿泊施設の連携は、今後の観光地における新たな移動支援モデルとして注目される取り組みである。