
オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社は、和歌山県田辺市において、公共ライドシェアサービス導入に向けた実証運行を2025年11月1日から11月30日まで実施する。本取り組みは、観光シーズンにおける交通空白の解消と、地域内移動の利便性向上を目的としたものである。
(出典:オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社)
田辺市本宮地区は、熊野本宮大社や熊野古道など世界遺産を有する国内有数の観光地であり、2024年には外国人宿泊客数が前年比1.66倍の4万4,540人に達するなど、インバウンド需要が急増している。一方で、既存の交通インフラでは観光ピーク期の移動需要を十分にカバーできず、オーバーツーリズムによる混雑や移動不便が課題となっている。
実証では、朝の時間帯に龍神自動車株式会社による定時定路線型バスを運行し、夕方は地元住民が運転する10人乗りの公共ライドシェアを実施する。運賃は一律500円で、クレジットカードのタッチ決済に対応する。バス車両には多言語対応の案内板やパンフレットを設置し、外国人観光客にもわかりやすい移動案内を提供する。
OSSは、ライドシェア保険の契約調整や運行データの収集支援を担い、地域交通に関するノウハウを活かして安全運行を支援する。さらに、本実証で得られたデータを基に、田辺市の交通課題解決や観光地間の移動最適化に向けたコンサルティングも行う予定である。
約60年にわたり公共交通ソリューションを提供してきたOSSは、今回の取り組みを通じて、地域交通の新しい形を検証し、持続可能な観光と移動の両立を目指す。