株式会社NearMe(以下、ニアミー)は、移動の課題に取り組むソーシャルデザインカンパニーとして、京都市北部でシェア乗りサービス「京都観光シャトル」の実証実験を行っている。このサービスは、観光庁の「令和5年度 訪日外国人旅行者の受入環境整備向上等に向けた観光現場におけるICTサービス等利活用促進事業」に採択され、京都市の協力を得て実施されている。
実証実験の背景には、2023年のアフターコロナ元年とされる時期における政府の入国制限解除や中国の海外団体旅行規制緩和などがあり、訪日外客数が250万人を超えるなど、インバウンド需要の拡大が見込まれる状況がある。この中で、ドライバー不足や通勤・通学時間帯のバス乗車困難などの問題が浮上していた。
これらの課題に対応するため、ニアミーはタクシードライバー確保の社会問題を背景に、独自AIを用いて走行ルートや乗車人数を最適化し、タクシーの乗車率と回転率を高めることで、既存車両の有効活用を図った。その結果、同社のシェア乗りサービスが観光庁の事業に採択された。
「京都観光シャトル」は、京都駅以北のエリアを対象に、同じ方向への移動を希望する複数の乗客をマッチングさせるサービスである。このサービスは、ドアツードアで快適な移動体験を提供し、価格も通常のタクシーに比べてリーズナブルである。予約はオンラインで行い、訪日外客も安心して利用できる。
運行期間は2024年1月31日まで、運行時間は9:00~18:00で、最大9名まで乗車可能。予約方法は、サービスサイトから乗車人数を入力し、マッチングが成立した場合に予約確定となる。決済はオンライン・クレジット決済のみで、運行エリアは京都駅以北とされている。
ニアミー代表取締役社長の髙原幸一郎氏は、観光立国を目指す日本において、観光二次交通対策が重要であると述べ、輸送量の増加だけでなく質的観点からのアプローチを強調している。シェア乗りサービスは、移動を滑らかにし、交通渋滞緩和や環境への配慮にも貢献するとしている。
「NearMe」については、空港送迎型のエアポートシャトルサービスを含む、多様な移動ニーズに対応するサービスを展開していることが紹介されている。さらに、スポーツ観戦時の移動支援や秋田県美郷町での観光二次交通の課題解消に向けた実証事業なども行っているとのこと。