交通事故ゼロ社会の実現に向け、スマートロードの開発が進められている。光ファイバー技術の開発を進める総合建設業者である鹿島は、トヨタ自動車、NIPPO、東京都市大学、カリフォルニア大学バークレー校と共に、モビリティサービスの提供や自動運転の普及を見据え、光ファイバセンサを活用した開発を進めている。
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スマートロードとは、ICT・DXにより安全・安心な通行と効率的な交通管制を実現する道路だ。同研究チームは、光ファイバセンサを埋め込んだ試験舗装フィールドを構築し、道路上の移動体の位置を自動で追跡する技術を確立した。
近年、先行技術としてカメラやLiDARの活用が進められているが、これらには天候の影響やプライバシー保護、物陰の移動体への対応などの課題が存在する。光ファイバセンサは、これらの課題を解決し、安全性を高め、コストの低減効果も見込める。それには、鹿島のインフラ構造物の計測・評価技術が大いに役立っている。
光ファイバセンサの技術的な特長は、30km以上もの長距離にわたって振動やひずみの発生源を探知し、その位置と大きさを捉える能力にある。これにより、見通しの悪い交差点や悪天候下でも、歩行者や車両を事前に認識し、安全対策を講じることが可能である。AI技術の活用による移動体の識別や追跡技術の開発も進められている。
今後、鹿島は、インフラの新たな価値創出を目指していくとしている。橋梁やトンネルに光ファイバセンサを適用し、構造物の変形や利用状況をリアルタイムで評価することで、利用者に対するサービスの向上が期待される。スマートロードの開発も、この流れの一環として進められていく。
新時代のモビリティに対応したスマートロードの開発は、安全で効率的な交通の実現への一歩である。光ファイバセンサの技術が、自動運転の普及や、交通事故ゼロ社会の実現を一層加速させる可能性を秘めている。これからの進展に期待が寄せられる。