米カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)は、2023年8月10日、Googleの子会社であるウェイモと、ゼネラル・モーターズの子会社であるクルーズに対し、サンフランシスコでの完全無人タクシーの24時間営業を認可した。ウェイモは、数週間以内に有料の無人タクシーサービスを市内全域で開始すると宣言している。
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これまでクルーズは深夜から早朝のタクシーサービスを提供しており、ウェイモは無料でのドライバーレス車を運行していたが、この新しい認可により、24時間、市内全域でのサービス提供が可能となる。今後、誰でもスマートフォンで簡単に無人のクルマを呼ぶことができるようになるとされる。
車両数には制限が設けられておらず、両社ともサンフランシスコでの自動運転タクシーの台数は明らかにしていない。ウェイモは10万人以上の待機リストに少しずつ招待していくとしている。両社は全米の多くの都市への展開を視野に入れており、特にクルーズはロサンゼルス、ダラス、オースティン、マイアミ、アトランタ、ナッシュビルへの展開予定を発表している。
一方で、クルーズとウェイモによる自動運転車は、道路上で停止してしまう“フリーズ事故”が半年間で計235件発生している。こうした事故に対し、企業側が専門家たちは透明性のある報告が必要だと指摘している。
8月10日の公聴会では、多く意見が寄せられた。賛成派はロボットの特性上人が運転するよりも安全とする声や、高齢者への利便性向上、障害者の自立支援などの利点を挙げた。反対派は、市内の通りでの試験運転経ても、混雑する時間帯への対応が整っていないとし、予期せぬ停止が交通の妨害となることもあると主張している。
州当局による認可は、クルーズとウェイモが自律走行車を無制限に運用できるようになることを意味するが、両社ともUberのような本格的な配車サービスに移行するには時間がかかると説明している。この新しい動きは、都市交通における革新をもたらすかもしれないが、技術的・社会的な課題が山積している状況だ。