デジタル大臣の河野太郎氏は、自動運転技術の実用化を推進する中で、規制が商業的利益の障壁となっているとの懸念を表にしている。米国や中国に比べ、日本は規制で動きが制限されているとの見解だ。
【関連記事】【自動運転記事まとめ】自動運転とは?基礎知識から現状・今後の展望までを解説!
河野氏は、9月26日のデジタル大臣記者会見において、ライドシェアについては言及を避け、「自動運転がタクシー問題などを解決できる手段として期待している。しかし、現状の規制が商業的利益を妨げている」との認識を明かした。
日本では2020年4月に自動運転レベル3が解禁され、2023年4月にはレベル4に相当する自動運転を特定自動運行と定め、許可制で公道走行を可能にする法改正が施行された。一方で、米中ではそれぞれの文化や政治体制に応じて自動運転の展開が進められている。
日本は安全性や社会受容性を重視して慎重な進行が見られる一方、米国は規制が後追いの形で整備されること、中国では政府の強権性が影響し、自動運転の普及がハイスピードで進行していると考えられる。この差は、国民性や文化、社会環境など多面的な要因に起因していると言える。
【関連記事】自動車産業への衝撃:自動運転タクシー普及と自家用車の衰退予測
自動運転における課題は、事業性、技術、環境整備、社会受容性などが挙げられる。規制も一因として関わっているが、主要な要因とは言い切れない。日本が自動運転の商業化で米中に追いつくためには、規制緩和や法整備の進展が重要だ。
また、資金面でも米国と日本には大きな差があり、スタートアップへの投資が進んでいないのが日本の現状である。イノベーションに寛容な米国とは異なり、日本は安全志向が強く、大きな変化を好まない傾向がある。この国民性を変え、イノベーションを推進するには、強いリーダーシップが必要だ。
河野氏は、規制改革と自動運転技術の推進に意欲を見せている。その手腕と手法には大きな期待が寄せられている。規制や国民性、資金面など、自動運転の実用化と普及を妨げる要因は多い。それでも、技術の進化と社会の変革を促進するために、これらの障壁を乗り越えていく必要がある。