
(出典:株式会社NearMe)
移動課題に取り組むソーシャルデザインカンパニー、株式会社NearMe(ニアミー)は、中部電力株式会社と連携し、名古屋市の一部地域においてオンデマンド乗り合いタクシー「中電MaaS Powered by NearMe」の導入に向けた取り組みに参画する。運行期間は2025年11月17日から2026年3月31日までである。
本取り組みは、中部電力グループの中電不動産が開発した名古屋市瑞穂区の住宅エリア「iiNE(いいね)town瑞穂」とその周辺地域を主な対象とする。居住者にとっては最寄り駅へのアクセス手段として、来訪者にとっては周辺施設や自宅までの移動手段としての活用が想定されている。ニアミーは、これまで地域交通の課題解決で培ってきた知見を活かし、運行システムの開発を担った。
近年、都市部においても高齢化や共働き世帯の増加、公共交通の利便性低下などを背景に、「ラストワンマイル」の移動手段確保が課題となっている。特に新興住宅地では、鉄道駅や主要施設までの距離が生活の質を左右する要素となりやすい。今回のオンデマンド乗り合いタクシーは、固定ダイヤや路線に縛られない柔軟な運行により、こうした日常移動の隙間を補完する役割を果たす。
本サービスには、ニアミーが独自に開発したAIによる最適化アルゴリズムを活用した配車システムが採用されている。複数の利用者の乗車リクエストを効率的に組み合わせ、移動時間や走行距離を最適化することで、利便性と運行効率の両立を図る仕組みである。この配車システムは自社サービスにとどまらず、移動課題の解決を目指す企業や自治体のプロジェクトへの組み込みも視野に入れている。
中部電力とニアミーは、本取り組みで得られる利用実績や利用者の反応を踏まえ、今後は共働き世帯や送迎時間の確保が難しい家庭を対象としたMaaSサービスの開発・展開も検討していく方針だ。エネルギー事業者による街づくりと、MaaSを通じた移動支援を組み合わせる本実証は、地域密着型モビリティの新たなモデルとして注目される。