(出典:JTB)
JTBが発表した「2024年7月15日から8月31日の夏休み期間に1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向見通しをまとめた。この調査は、1969年から継続して行われており、経済動向、消費者行動、運輸・観光データなどを基に推計されている。
(出典:JTB)
2024年の夏休みの旅行者総数は6,975万人と、前年比95.9%に留まる見込みで、総旅行消費額は3兆2,743億円(前年比96.8%)となっている。国内旅行者数は6,800万人で、旅行消費額は2兆8,560億円に達し、海外旅行者数は175万人、旅行消費額は4,183億円である。
国内旅行は、新型コロナウイルス収束の影響で旅行意欲が落ち着いたことから、前年比より減少している。物価高の影響で費用自体は上昇しているが旅行日数の短縮や旅行先の変更といった工夫もあり旅行費用の抑制が見られる。
海外旅行では、円安や物価高の影響を受けながらも、旅行者数は前年よりわずかに増加した。特に欧州への長期旅行がやや回復している。平均旅行費用は円安や物価高に加え旅行の長期、長距離化により上昇傾向にある。
(出典:JTB)
今年の夏休みの旅行意向についてのアンケートでは、回答者の34.1%が旅行へ行くと答えたが、これは新型コロナ前の2019年の38.0%に迫るものの、前年からは2.4ポイント減少している。若い年代で旅行意向が高いが、40年代女性を除く全年代で前年比減少している。旅行に行かない理由としては、夏休み期間の混雑、家計の事情、家でのんびりしたいという理由が挙がっている。
国内旅行の具体的なデータでは、旅行日数は短期化が進んでおり、「1泊2日」が最も多い。また、旅行先としては関東や近畿地方への旅行が増えている。旅行先を選んだ理由は最も多い回答が「行きたい場所がある」で44%、次いで「帰省先である」が19.5%であった。また一人当たりの旅行費用は「2万円以上から3万円未満」が一番多く、前年よりも0.6ポイント増加した。次いで「1万円から2万円未満」で前年より1.1ポイントの増加となった。
海外旅行は、旅行日数としては「3泊4日」が最も多く、次いで「2泊3日」で前年よりも6.2%減少した。旅行費用では「15万円~20万円未満」が多い。特にヨーロッパ、韓国、東南アジアが人気の旅行先となっており、「パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会」の影響も表れていると考えられる。JTBの海外旅行の予約状況は前年比130%となりハワイや韓国、シンガポールなどのアジアが好調である。ヨーロッパは前年から大きく回復しており、アジアの中でもやや遠方のバリ島なども回復傾向である。
(出典:JTB)
経済環境については、不安定な国際情勢や円安傾向が続いており、物価の上昇が消費者の生活に影響を及ぼしている。JTBの調査では、収入面の改善が見られる一方で、家計の余裕は依然として少なく、生活費の節約や旅行費用の削減をする人が前年より増えている。これに対応して、多くの旅行者が費用を抑えるための工夫をしており、特に日程変更や安価な旅行先の選択が挙げられている。
今年の夏休みの旅行市場は、国内外での物価高や円安の影響を受けながらも、依然として旅行需要があることが確認できた。