(出典:「レンタカー充足率推計」, りゅうぎん総合研究所)
2023年の沖縄県のレンタカー業界は、多くの課題に直面している。7月24日、産業、経済、金融に関する調査研究を行うりゅうぎん総合研究所が公表したレポートによると、今年度の県内事業者が保有するレンタカーの台数と、来春までの充足率を調査・予測した結果、観光のピーク期である7~8月の充足率は65~70%に留まると見込まれている。この背景には、深刻な人手不足が影響を及ぼしている。【関連記事】沖縄、レンタカー不足に打破策?ヘリコプターバス事業がスタート
沖縄県のレンタカー業界はコロナ禍によって大きな打撃を受けた。一時的に車両数はコロナ前の4割減にまで落ち込んでいたが、2022年度に観光需要が回復すると、急激にレンタカーの需要が増加した。しかし、事業者の経営基盤の弱さや車両数の減少などが、いまだに供給不足の主因となっている。(出典:「県内レンタカー車両数の推移(各年度3月末時点)」, りゅうぎん総合研究所)
なかでも大きな問題は、人手不足だ。現在の沖縄では、車両はあるものの、レンタカーの予約や配車、洗車などのオペレーションに関わるスタッフが不足しているため、事業者は予約制限を設けたり、新たな車両の導入が難しい状況なるこもあるという。レポートでは「人手不足の影響が今後も継続した場合、レンタカーの供給不足が長期化する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
さらに沖縄では、観光客の6割がレンタカーを利用するという、その過度な依存度も問題となっている。これを是正し、公共交通やシェアリングサービスのような多様な二次交通を充実させ、組み合わせることが求められている。
沖縄県の観光産業の脆弱性は、コロナ禍により明らかとなった。県民の観光業に対するイメージの低下や、観光業界の人材確保・定着の難しさが指摘されている。また、コロナ禍による外国人観光客の減少は、レンタカー業界における外国人労働者の流出という問題を生じさせた。これに対応するための外国人受け入れ体制の強化や生活基盤の支援も求められている。さらに、違反事業者の増加、那覇空港周辺の混雑などの問題もある。
沖縄県のレンタカー業界が直面する多岐にわたる課題の解決は、持続可能な市場形成と地域経済の活性化に直結している。したがって、経営基盤の強化、サービスの質の向上、公共交通との連携強化など、多方面からの取り組みが不可欠である。
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