
(出典:一般社団法人東紀州地域振興公社)
三重県地域連携・交通部 南部地域振興局 東紀州振興課が主導する熊野古道伊勢路エリアの実証事業「熊野古道伊勢路タクシー」は、峠の入口と出口をワンコインで結ぶタクシー送迎サービスである。世界遺産・熊野古道伊勢路を訪れる旅行者の移動負担を軽減し、トレッキングをより楽しみやすくすることを目的として導入された。

(出典:一般社団法人東紀州地域振興公社)
熊野古道伊勢路には複数の魅力的な峠道が存在する一方、マイカーやレンタカー利用者からは「峠を歩き終えた後、駐車地点へ戻る移動が大きな負担になる」という声が多く寄せられてきた。徒歩での引き返しには時間と体力を要し、結果として同じルートを往復せざるを得ないケースも少なくなかった。

(出典:一般社団法人東紀州地域振興公社)
こうした課題を受け、実証事業として開始された本サービスでは、峠の登り口と下り口をタクシーで結び、片道縦走を可能にしている。対象区間はツヅラト峠、荷坂峠、馬越峠の3峠で、1グループ1回あたり500円という明瞭な料金設定が特徴である。事前に提携タクシー会社へ電話予約を行うことで、行程に合わせた柔軟な移動が可能となる。
また本事業では、2025年12月より特設Webサイトに生成AIを活用したチャット形式のサービス案内を試験導入した。利用可能な峠や予約方法、周辺の飲食店情報など、利用者が事前に抱きやすい疑問に対し、24時間体制で情報提供を行う。これにより、初めて熊野古道伊勢路を訪れる旅行者でも計画を立てやすい環境が整えられた。
熊野古道伊勢路タクシーは、観光地における「ラストワンマイル」ならぬ「ラストワン峠」の課題に対応する取り組みである。歩く体験の価値を高めながら、交通手段を組み合わせる本実証は、今後の自然観光や世界遺産エリアにおける持続可能な観光モデルとしても注目される。