(出典:浅利観光株式会社)
松江市で観光業を営む浅利観光株式会社は、立ち乗り三輪モビリティ「ストリーモ」を活用した着地型旅行商品の販売を開始した。観光地に点在するスポットを効率よく巡るための移動手段として導入され、7月23日よりツアー形式で提供が始まっている。
今回の取り組みの背景には、市内観光における交通手段の限られた選択肢や、駐車場不足といった課題がある。徒歩では距離があり、車では駐車場所に悩むという状況のなか、「ストリーモ」による移動はその中間を補う存在となる。歩行速度から自転車並みのスピードまで、自分のペースで進める点は、観光客にとって体力的な負担を軽減し、移動時間そのものを体験の一部として楽しめる要素につながっている。
また、同社のツアーでは地元ガイドが同行する。単なる移動サービスにとどまらず、歴史や文化に関する案内が加わることで、参加者は地域の理解を深めながら観光を楽しむことができる。安全確保の観点からもガイドの存在は大きく、初めて乗る旅行者に安心感を与える役割を果たす。
実際に催行されるプランは二つある。一つは松江城をめぐる歴史散策であり、歩行モードを活用して天守閣や城郭を巡る。もう一つは宍道湖の夕日を鑑賞するツアーで、夕暮れの風景と自然解説をあわせて体験できる。いずれも少人数制で、参加者同士やガイドとの交流がしやすい構成となっている。
このような移動体験を取り入れることで、観光の回遊性が高まり、従来の観光ルートに加えて隠れた名所や地域ならではの景色へ足を運びやすくなる。結果として、観光客の滞在時間や満足度を高め、地域全体の魅力を再発見する契機となることが期待されている。
浅利観光は今後、城下町や島根半島、出雲方面へもエリアを広げる計画を掲げている。小回りの利くモビリティを観光に取り入れることで、観光資源と人とをつなぐ新たな仕組みづくりが進みつつある。