(出典:株式会社オートテクニックジャパン)
株式会社オートテクニックジャパンは、2025年6月2日から6日にかけて、長野県の戸隠古道にてアウトドア対応型電動車いす「ADV-e」の実証実験を実施した。ユニバーサルツーリズム推進の一環として、移動制約のある人々が自然体験を家族や仲間とともに安全かつ快適に楽しめる仕組みの検証を行った。
旅行やアウトドア体験において、車いす利用者は段差や未舗装路、バリアフリー未対応の施設といった多くの障壁に直面する。これらが外出や旅の機会を奪い、同行者の行動選択も狭める要因となってきた。観光庁も「心のバリアフリー認定制度」などを通じ、誰もが旅を楽しめるユニバーサルツーリズムの実現に向けた取り組みを進めている。
こうした背景のもと、ATJはアウトドア環境にも対応可能な電動車いす「ADV-e」の開発に着手した。今回の実証実験は、戸隠観光協会および地域支援を行う合同会社nicomoの協力を得て実現したものである。実験では、利用者自身が主体的に自然と触れ合える移動支援の可能性が検証され、地域観光の新たなあり方が模索された。
「ADV-e」は、家族との自然体験を諦めてきた人々にも対応する高度な設計が特徴である。悪路や砂利道、雪道といった様々な自然地形にも対応可能なサスペンション構造を備え、利用者の快適さと同行者の安心感を両立する。これにより、QOLの向上と共生社会の実現に寄与することを目指している。
今後は、2025年秋にも第2回実証実験を戸隠で実施予定であり、製品性能の向上と実用化に向けた体制整備が進められる見込みである。誰もが自然を身近に感じられる環境づくりを支えるプロジェクトとして、今後の展開に注目が集まる。