(出典:株式会社MATCHA)
訪日メディア「MATCHA」を運営する株式会社MATCHAは、2025年旧正月に向けた台湾人旅行者の動向を分析し、観光地選びの多様化やリピーターの嗜好変化などが鮮明に表れていることを明らかにした。月間最大600万PVを誇る同社の繁体字版データ(2023年10~11月、2024年10~11月分)を比較した結果、台湾から直行便がある地域や混雑を避けた周辺エリア、地元市場での食体験、さらにはタクシー需要やスポーツ観戦の増加といった幅広い傾向が浮き彫りとなったのである。
(出典:株式会社MATCHA)
なかでも熊本県の人気急上昇が注目される。同県に進出した台湾の大手半導体企業TSMCの影響で駐在員や家族が移住し、地元の観光地情報がメディアを通じて台湾全土に広がったという。同社のデータによれば、熊本関連のPVは前年同月比で40%増加しており、「くまモン」や「熊本城」などの定番スポットだけでなく、周辺地域への関心が高まっている。
(出典:株式会社MATCHA)
京都市内の定番エリアではPV成長率が微増(+5%)にとどまる一方、周辺の天橋立や伊根、奈良、滋賀、金沢などは25%以上の増加がみられた。オーバーツーリズムを避け、より静かで「質の高い体験」を求めるリピーターの動きが背景にあるとみられる。ローカル市場や朝市を巡る食体験も好評で、有名レストランより現地の雰囲気を味わえる場所へのニーズが増えた結果、海鮮市場やスイーツ関連の記事PVが大きく伸長した。
(出典:株式会社MATCHA)
さらに、円安の影響も重なり、家族やグループ旅行が増加していることから、タクシーやチャーター貸切タクシーへの需要が24%以上伸びたほか、レンタカー利用も123%超と高い成長を示している。台湾ではバイク移動が一般的であり、公共交通機関への不慣れを補う移動手段としての需要が高まっているようだ。
(出典:株式会社MATCHA)
旅行の目的自体も多様化しており、野球やバレーボールなどのスポーツ観戦に焦点を当てる動きが顕著になっている。なかでも野球は日本と同様に台湾でも人気が高く、東京ドームなどで開催される国際大会のチケットが即完売となる例もあったという。MATCHAのデータでは「エンターテインメント」カテゴリが+13%伸びたのに対し、「スポーツ」カテゴリは+25%増と大きな伸びを示した。
こうした傾向からは、台湾人旅行者が既存の定番観光だけでなく、地域に根ざした食文化や周辺エリア探訪、スポーツ観戦など多彩なニーズを持ち始めていることがうかがえる。今後もリピーターを中心に「より深い日本体験」を求める動きが加速するとの見方が強まっており、各観光地がいかに新たな魅力を発信していくかが注目されるところである。