アメリカでは現在、自治体がモビリティ事業者にデータ提供を義務付け、都市の交通をコントロールしようという動きが出ている。
2018年、ロサンゼルス市はMDS政策を施行した。モビリティ事業者に対してユーザーの移動データの提供を求めるもので、最新のモビリティ・サービスを反映した都市計画の立案や、交通状況の改善などを目的としている。
MDSの訳は、モビリティ・データ仕様。モビリティサービスを地域に実装していくにあたっての、官民のデータ連携の標準仕様であり、運用ルールの役割を果たす。当初は自転車や電動キックボードといったマイクロモビリティ・サービスを中心にしていたが、現在ではカーシェアリングなども対象に含まれるようになった。
2019年にはアメリカの地方自治団体が共同で「オープンデータモビリティ基金(OMF)」を設立。その後MDSの流れは加速し、現在アメリカの100を超える都市で実施中だ。
日本でも似たような流れが起きている。東京の西新宿エリアでは、複数の交通事業者が一つのポートを共有できる取り組みがスタートした。また、羽田のイノベーションシティではモビリティサービスの実証実験を進めている。
自治体と事業者がユーザーのデータを共有することで、カーシェアやレンタサイクルと言った近年流行しつつあるモビリティーサービスの法整備がスムーズに進むとともに、交通状況の改善も期待できる。サービスの移り変わりが激しくなっていくであろうこれからの時代において、官民のデータ連携の重要性はますます強まっていくだろう。