(出典:unsplash)
新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の国内初確認から3年が経過し、その間に「自動車」がプライベートな移動手段としての人気を博している。感染症拡大に伴い自動車を利用した国内旅行が増加し、2022年には観光地でのレンタカー不足が報じられるほどだった。この背景を踏まえ、経済産業省経済解析室が行った自動車レンタル業と自動車リース業の動向の分析をまとめた。
(出典:経済産業省経済解析室)
経済解析室が毎月公表するサービス業などを含む第3次産業の活発さを表す指標である「第3次産業活動指数」より、自動車賃貸業全体を見ると、2015年以降、自動車賃貸業全体は第3次産業総合を大幅に上回る成長を遂げている。そのうち、売上高の8割超を占める自動車リース業は、長期契約が主であるためか安定した動きを示しているが、2018年以降は若干の低下傾向にある。
一方で自動車レンタル業は法人向け、個人向けともに上昇傾向にあり、法人向けは2009年から2019年の間に契約台数が1.5倍に増加した。感染症拡大の影響で2020年には大幅に落ち込んだが、2021年以降は回復傾向にある。個人向けレンタルも同様に回復しているが、法人向けと比較して感染症拡大時の落ち込みが特に大きかった。(出典:経済産業省経済解析室)
レンタカー業界が好調である背景としては、法人向けはコスト削減のために社有車からの切り替えが進んでいること、個人向けについては観光需要の増加や都市部を中心とした自動車普及率の変化の影響があげられる。2022年3月末時点での自家用乗用車の世帯当たり保有台数は減少傾向にあり、2006年のピーク時から減少している。
(出典:経済産業省経済解析室)
また、レンタカーに加え、カーシェアリングの利用も拡大している。カーシェアリング用車両ステーション数は2015年以降、2倍以上に増加し、車両ステーション当たりの車両台数も増加している。2021年の感染症拡大の影響を受けながらも、カーシェアリングはプラス成長を続けており、日常生活での利用機会の増加が背景にあると考えられる。
乗用車全体との比較ではカーシェアリングの車両数はまだ小規模であるが、シェアリングエコノミーの認知度の向上とともに、多様なサービス形態が登場し、消費者にはより多くの選択肢が提供されている。自動車を中心とした移動手段の多様化は、リースやレンタル、サブスクリプションサービスを含め、今後の発展が期待される。