出典:株式会社T2
自動運転トラックによる物流の実現を目指す株式会社T2(千葉県市川市、森本成城社長)は、東京と大阪間の幹線輸送を対象に、2026年までに「レベル4」対応の完全自動運転トラックサービスを事業化する計画を発表した。これは、人手不足や運転手の長時間労働問題に対処するための重要な一歩であり、2030年までに約35%の荷物が運べなくなるという予測に対する解決策の一つとされている。
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このサービスでは、東京から大阪までの長距離輸送が対象となる。車両は、出発地の倉庫から出発切り替え拠点までと、到着切り替え拠点から最終目的地までの区間を運転手が担当し、それ以外の区間は完全自動運転によって運行される。このアプローチにより、運転手は地域内配送に専念し、長時間労働の削減に貢献することが期待される。
出典:株式会社T2
T2は、車両の自動運転アルゴリズムをすべて内製化し、車載カメラ、レーダー、LiDAR(ライダー)などの高機能センサーを使用して周囲の環境を高精度に認識する技術を開発している。4月には、高速道路での自動運転トラックの自律走行に成功し、10月末には約54億5000万円の資金調達を実施した。これらの資金は、車両構築、人材採用、AIモデルの改善、データセットの拡張などに使用される予定である。
さらに、T2は、AIの機械学習に利用するデータ量を増やしてAIの精度を向上させることを目指しており、現在は週に1回程度、東京と大阪間を往復する実験車両を使用している。将来的には実験車両を増やし、より多くのデータを収集することで、事故や工事現場など重要なシーンへの遭遇確率を上げ、大規模なデータセットを構築する計画だ。
技術開発部門の辻勇気技術開発部門長は、AIモデルが自動で判別しデータセットに加える仕組みの構築を目指している。一方で、森本社長は2031年までに2000台の自動運転トラックを保有し、ビジネスを展開する野心を示している。
この取り組みは、日本における物流業界の効率化と技術革新の重要な一環として位置付けられており、将来的には物流のあり方そのものを変える可能性を秘めている。