観光産業を用いた地方創生において、観光客の交通手段の確保は大きな課題だ。奥会津地域では、只見線の再開通に伴う観光客増加に対し、それをサポートする移動手段の提供が求められている。その解決策の一つとして、地域の経済循環に資する新たな取り組みが展開されることになった。
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東日本電信電話株式会社福島支店(以下、NTT東日本)、只見川電源流域振興協議会、ケー・シー・エス(KCS)、エヌ・ティ・ティ・ル・パルク(NTTル・パルク)の4社が連携し、奥会津カーシェアリング導入実証事業を開始する。期間は2023年7月1日から同年12月31日までで、その目的は観光客の移動手段の確保と奥会津地域の観光周遊性の向上である。
この実証事業では、只見線沿線駅周辺にカーシェアリング車両を配置し、その稼働データとアンケート調査を通じて、二次交通としての有効性を検証する。カーシェアリング車両はコンパクトカー5台とミニバンタイプ1台、合計6台を用意する。これらの車両は会津柳津駅、会津宮下駅、会津川口駅、只見駅などに設置され、2カ所の追加も予定している。
奥会津エリアの観光を円滑にするため、ラウンドトリップ方式を採用。これは、指定のカーステーションで車を借りて同じステーションに返却する方式で、観光客はアプリから気軽に車両を予約し、鉄道を降車後すぐに車両を利用できる。会員登録にはスマートフォン、免許証、クレジットカード、そして専用アプリ「ノッテッテDX」のダウンロードが必要である。
実証事業にあたり、KCSとNTTル・パルクが二次交通体系拡充事業に係る業務を担当し、NTTル・パルクがカーシェアリングシステムの運営と車両の提供を行う。また、NTT東日本福島支店はマーケティングと分析などを通じて、事業を支援する。
この事業を通じて、観光客の移動手段の確保と地域の観光体験の向上が期待されている。観光地の発展にとって重要な交通問題への解決策を模索するこのプロジェクトが、地域振興の一助となるだろう。