(出典:アウディジャパン公式サイト)
電気自動車(EV)の普及が進む中、充電インフラの整備が急務となっている。特に、「目的地充電」と呼ばれる旅行先やホテルなどでの充電が、長距離移動をするEVユーザーの利便性を大きく左右する。そこで注目されるのが、アウディジャパンと全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)の取り組みである。
5月15日、アウディジャパンと全旅連は、目的地充電インフラの整備に向けた協力体制を発表した。具体的には、2023年末までに全旅連加入宿泊施設50か所にアウディ純正のEV用普通充電器(8kW)100基を無償で設置する計画である。これにより、一晩で車両を満充電可能になり、EVでの旅行が一層容易になることが期待される。
この計画は、日本政府が脱炭素社会実現に向けて掲げる「2035年までに新車販売でEVを100%にする」という目標を背景としている。また、アウディ自身も電動化戦略「Vorsprung 2030」を設定し、2033年以降は全モデルの販売をEVとする計画を発表している。このような充電インフラ整備の動きは、その方針の実現のためと考えられる。
全旅連は約1,500組合、旅館・ホテル約15,000軒を擁する日本最大級の宿泊施設組合である。これらの施設に充電器が設置されることにより、旅行者は宿泊先での充電に不安を感じることなく、長距離移動を楽しむことができるだろう。
(出典:アウディジャパン公式サイト)
なお、アウディは急速充電ネットワークも拡大していく予定であり、アウディe-tron店の50基の50kW-90kW急速充電器を150kW急速充電器に置き換える計画も発表している。また、同社は、ポルシェ ジャパン、フォルクスワーゲン ジャパンと連携し、日本最大級の急速充電ネットワークサービス「プレミアム チャージング アライアンス」事業を展開している。さらに、旅行先などの「デスティネーションチャージ」によるネットワーク構築も推進している。これにより、日本国内の充電インフラの一層の拡充が進むこととなる。
これらの取り組みは、ユーザー満足度の向上とともに、アウディ ジャパンのEVシフトへの意思を強く示している。その実現のためには、社会全体の電気自動車への理解と協力が不可欠だ。今回のアウディ ジャパンと全旅連の協力による無償充電器設置は、電気自動車の普及と、それに伴う社会インフラ整備の一環として、とても意義深いものである。