株式会社JTBは、2024年の旅行市場に関する見通しをまとめ公表した。調査によれば、国内旅行者数は2億7,300万人で、これは前年と比べて97.2%、2019年と比べて93.6%にあたる。海外旅行者数は1,450万人で、前年比152.6%、2019年比72.2%である。また、訪日外国人旅行者数は3,310万人に達する見込みで、これは前年比131.3%、2019年比103.8%となる。
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出典:株式会社JTB
この調査は、経済指標や消費者行動調査、運輸・観光関連データなどを基に1981年から継続して行われている。新型コロナウイルスの影響が大きかった2021年、2022年は国内旅行のみが推計されていたが、2023年からは海外旅行や訪日外国人旅行についての発表も再開された。
新型コロナウイルスのパンデミック宣言から3年以上が経過し、世界保健機関(WHO)は2023年5月に緊急事態宣言の終了を発表した。これにより、経済活動は世界的に新型コロナ前の状態に戻りつつある。しかし、物価高や高金利の影響が生活に様々な影響を与えている。特に旅行業界では、出入国制限の撤廃により海外旅行が新型コロナ前と同様に行えるようになっているが、不安定な国際情勢や物価高騰が懸念材料となっている。
日本経済は、日経平均株価が2023年5月以降3万円を上回る状態が続いているが、世界情勢や欧米の金融政策の影響を受け、景気の先行きは不透明である。IMF(国際通貨基金)によると、2023年の日本の成長率は2.0%で、2024年は1.0%と厳しい予測がなされている。出典:株式会社JTB
一方、2024年のカレンダーは、3連休以上が11回あり、ゴールデンウィークや夏休み、年末年始に長期休暇が取りやすいことから、旅行需要の増加が期待されている。また、パリでのオリンピック・パラリンピック競技大会や、北陸新幹線の延伸、テーマパークや商業施設の新エリア開業など、様々なイベントが予定されている。これらが旅行需要に影響を与えると考えられる。
国内旅行については、新型コロナの影響がほぼ払拭されているものの、高止まりする旅行費用や旅行意欲の落ち着きにより、旅行者数は伸び悩むと予想される。SDGsやサステナビリティへの取り組みが進む中、旅行会社や観光地では、持続可能な旅行・観光の実現に向けた活動が増えている。
海外旅行に関しては、円安や海外物価高の影響を受け、2024年の旅行者数の回復は緩やかであると予想される。一方、訪日外国人客数は、相対的に安い物価と円安のお得感により、急速に回復していると見られる。特に韓国、台湾、アメリカ、香港などは新型コロナ前を上回るかそれに近いレベルにあり、2024年は過去最高になると予想されている。