(出典:豊田市)
近年、公的な場での電動モビリティ(EVモビリティ)の導入が増えつつある。クリーンエネルギーを用いて環境に配慮しつつ、利便性を向上させることはもちろん、新たに付加価値を提供することも期待されている。ここでは、その具体的な取り組みとして豊田市が行った実証実験を紹介する。
豊田市は、トヨタ紡織株式会社と協働で、鞍ケ池公園の園内移動モビリティを活用した「新しい移動体験」の実証実験の開始を発表した。来訪者の「施設内での移動」に「楽しみながら移動する」という新たな価値を付加し、来訪者の満足度を向上させることを目的としている。具体的には、「新米トレジャーハンターの大冒険」や「鞍ケ池公園魅力発見ツアー」など、移動を冒険に見立てたストーリーに合わせ、モビリティ内の音響や座席の振動を組み合わせたエンターテイメント体験を提供予定だ。モビリティは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で活用された電気自動車「APM(アクセシブル・ピープル・ムーバー)」が利用される。
(出典:鞍ケ池公園)
この実証実験は豊田市つながる社会実証推進協議会の取り組みとして行われ、体験の満足度などの調査を通じてその効果を検証し、鞍ケ池公園を含む他の公共施設への同様の仕組みの導入を検討する。トヨタ紡織株式会社は関連機器を搭載したモビリティ及びコンテンツの提供を行い、豊田市は実証フィールドの提供及び施設での活用策を検討する役割を担う。
豊田市つながる社会実証推進協議会は、新エネルギーやAI・IoTなどの先進技術の実証・実装により地域課題の解決を進め、市民生活の安全・安心を向上させ、新産業の創出、産業の多角化を目指すものだ。先進実証都市としての魅力向上を図りつつ、豊田市及び国内外の持続可能な社会形成に貢献するため、豊田市と企業や大学をはじめとした団体とともに、平成28年10月に発足した。
この取り組みは、EVモビリティを活用した新しい移動体験の提供を通じて、来訪者の満足度向上とともに、環境に配慮した持続可能な社会形成に寄与する一例だ。公EVモビリティの積極的な導入とその活用により、より豊かで快適な公共空間の創出が期待される。