オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社(OSS)は、公共ライドシェアサービス「meemo(ミーモ)」において、新たに「タクシー優先配車機能」を2025年9月より提供開始する。これにより、従来のライドシェアに加え、地域のタクシー事業者の車両を優先的に配車することが可能となり、地域公共交通を支える仕組みとしての進化を図る。
地方都市では財政難や人手不足により地域交通の維持が困難になり、住民の移動手段不足が深刻化している。タクシー業界においても運転手数は2019年から2023年にかけて約20%減少しており、公共交通の担い手不足が顕著となっている。こうした背景から、ライドシェアは新たな交通手段として注目を集めているが、地域交通の持続性を確保するには地元タクシー事業者との連携が不可欠である。OSSはこの課題に応える形で、ライドシェアとタクシーを共存させる優先配車の仕組みを導入する。
新機能では、利用者からの配車リクエストがあった際、まず地域タクシー事業者に通知し、タクシーでの対応が難しい場合に限ってライドシェアを配車する。これにより、タクシーの配車機会を確保しつつ、深夜や郊外など配車困難な場面でも住民の移動を保証する。単なる代替手段ではなく、地域公共交通を「支える・つなぐ」機能として、持続可能な交通モデルを構築する狙いである。
OSSは2019年より「meemo」を展開しており、調査から導入・運用・改善まで包括的に支援する体制を整えている。舞鶴市での導入事例では、アプリのUI改善や住民参加型イベントの実施を通じ、地域に根ざした交通サービスの定着を実現した実績もある。今回の新機能も、地域と協働しながら共助型交通を推進する姿勢の延長にあるといえる。
OSSは、公共交通分野で培った約60年の知見と技術を活かし、交通空白地帯の解消や持続可能な移動環境の整備を加速させていく方針だ。タクシー事業者とライドシェアの協働モデルは、人口減少社会における地域交通の新しいスタンダードとなる可能性を秘めている。