三菱自動車とDeNAが、物流車両や営業車、自治体の公用車、カーシェア、レンタカーなど、商用電気自動車(EV)分野におけるコネクテッドカーの協業モデルの検討を開始した。
自動車メーカーの三菱自動車工業株式会社(東京都港区)とインターネット企業株式会社ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区)がコネクテッドカーの協業モデルの検討を開始した。双方の強みをこの分野で生かすため、自動車メーカーのデータ主権や、既存の車両システムを保ちながら、EV の車両データ管理や各種サービス事業者との連携はクラウド事業者が担うという、「水平分業型」の産業構造の構築を目指す。
自動車メーカーの多くが力を入れている コネクテッドカー は現在、車両とクラウドがモバイル通信を介して接続されており、通信フォーマット、データ規格は統一されていない。また、これまで自動車メーカーのコネクテッドサービスは個人向けのサービスが中心であり、対象は各社の自ブランド車両のみであることが多く、通信フォーマットや車両データの規格が各社で異なることは問題となりにくい状況だったという。
しかし、カーシェアリングやレンタカー、EVを蓄電池として電力連携させるサービスのように、多様な車種やメーカーの EV を束ねるコネクテッドサービスを展開する場合、こうした規格の違いは、サービス事業者にとって大きな制約となる。
また、データを提供する各自動車メーカーにとっても、第三者のサービス事業者にその都度対応していくことは非効率であるため、商用車向けのコネクテッドサービスを本格的に普及させるためにも、車両やクラウド、そしてサービスといった各階層間で分業化するのが合理的だ。
三菱自動車と DeNA は今後、自動車メーカー主導の垂直統合型から異業種連携による水平分業型へと、新しい産業構造変革に挑戦する。また両社は、この新しい構造を通じて EV の多用途化による日常的な稼働率の向上、車両寿命の延伸、車両としての役割を終えた EV バッテリーの再利用など、EV の価値を最大化させる新たなサーキュラーエコノミーの実現を目指していく。